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<損賠訴訟>虎の門病院などに支払い命令 過剰投薬認める
毎日新聞 2月10日(木)20時50分配信
虎の門病院で入院中に死亡した大学教授の男性(当時66歳)の遺族が、過剰投薬が原因として、病院を運営する国家公務員共済組合連合会や担当医らに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(浜秀樹裁判長)は10日、連合会と投薬を指示した担当医や、薬剤師3人の賠償責任を認め、2365万円の支払いを命じた。医療過誤訴訟で薬剤師の責任を認める判決は異例。
 判決によると、男性は肺がんで入院していた05年10月、併発した肺炎の治療薬「ベナンバックス」(一般名ペンタミジン)を通常の5倍の量で3日間投与され、11月に腎不全などで死亡した。臨床経験3年目の担当医が薬品マニュアルを見た際に、隣のページの別の薬品と見間違えて投薬を指示していた。
 薬剤師法は、医師の処方箋による指示がなければ薬剤師は薬を調剤できないとする一方で「処方箋に疑わしい点がある時は、医師に確認した後でなければ調剤してはならない」とも定める。
 薬剤師のうち実際に調剤したのは1人で、2人は投与量を確認する立場だった。裁判では「担当医の指示に疑いを持たなかった」と主張したが、判決は「ベナンバックスは劇薬で重大な副作用を生じることがある。5倍の量だったことを考えると、薬剤師は指示に疑問を抱いて担当医に確認する注意義務があった」として3人の過失を認めた。



「医療過誤訴訟で薬剤師の責任を認める判決は異例」との記載があるけれども、

この判例が基準となって今後薬剤師の処方疑義に対する注意義務が問われる事例が出てくるのではないか?

薬剤師法は、医師の処方箋による指示がなければ薬剤師は薬を調剤できないとする一方で「処方箋に疑わしい点がある時は、医師に確認した後でなければ調剤してはならない」とも定める。

との記載があるが、注射指示自体は処方箋でもなく調剤には該当しないと思っていたのだが、

この判決では、注射も処方箋調剤と同類のものして適用されたということになる。

かなりインパクトのある判決だと思った。

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医師から問い合わせ

「リウマチ性心膜炎の対症療法として解熱剤を使用したい。
血圧が低めで出血性胃炎がある。アンヒバ坐薬の頓用を指示しているがまだ使用していない。
どのような薬剤を投与するのが適切か?」

というもの。


次のことを考えた。

1.上部消化管疾患があるためNSAIDsは注意して使う必要がある
2.血圧が低めでありボルタレン坐薬を使用すると急激に血圧が下がる場合があり使いにくい
3.アンヒバ坐薬を使用した場合、血圧低下をきたすことがあるかは不明
4.選択的COX-2阻害薬のセレコキシブならば、消化性潰瘍の副作用は比較的軽減されるものと思われる
5.今回の主目的は解熱であるが、セレコキシブが解熱作用をどの程度有するのかは不明


まずは不明な点を解明すべく各メーカーへ問い合わせ。

Q1.
ボルタレン坐薬を使用するとなぜ血圧が下がることがあるのか?」
A1.
血圧低下は、解熱目的で使用した場合に多く報告されている。
機序ははっきりと解明されていないが、次のことが考えられている。
・ジクロフェナクは発汗作用を有するが、発汗により循環血液量が低下するため
・皮膚血管の血管拡張作用を有するため
・肛門刺激による迷走神経反射
 (参考WEBサイト ノバルティスファーマ>医療関係者のみなさま>ボルタレンによる血圧低下の機序は?

Q2.
アンヒバ坐薬の添付文書には血圧低下の記載がないが、ジクロフェナク坐薬では報告がされている。
本当にアンヒバ坐薬使用により血圧低下をきたした報告はないのか?
A2.
報告はない

Q3.
セレコキシブに解熱の適応はないが、解熱作用はあるか?あるならどの程度か?
胃腸障害の報告はどの程度あるか?
A3.
ある。プラセボに対して有意差をもって低下させた。
イブプロフェン400㎎とセレコキシブ200㎎で解熱作用に有意な差はなかった。
胃腸障害の報告は臨床試験において10数%報告されている


上記回答を総合して考えると・・・

アンヒバ坐薬については血圧低下の報告はないとの回答であったが、

浣腸使用した場合に迷走神経反射を生じる危険性があることはよく知られており、

浣腸より負荷が少ない坐薬使用によっても迷走神経反射を生ずる危険性は残る。

アンヒバ坐薬といえど血圧が低い場合は避けるほうが望ましい。

第一選択薬は関節リウマチに対して適応を持つセレコックスでよいと思われる。
またPSL使用中であり、酸分泌抑制剤はより強力なほうがよいと思われる

医師へは次のように回答した。
セレコックス使用を推奨。
頓服にはアセトアミノフェン内服を推奨。
胃腸障害予防にはPPI投与を推奨。

提案は概ね受け入れられた。

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症例で身につける臨床薬学ハンドブック―122症例から学べる薬物治療のポイント

      


「症例で身につける臨床薬学ハンドブック―122症例から学べる薬物治療のポイント」は、

その題名のとおり症例を読みながら臨床における薬学的管理能力を習得させてくれる書籍。


本の基本構成は、一症例につき、

1.症例の詳細
2.症例のチェックポイント「Point」
3.実際の処方例
4.処方の解説と服薬指導
5.この症例・疾患について知っておくべきこと

となっている。

まず初めに薬のことではなく症例が書かれているので、

読み進めていくうちに自然と頭の中で、

どのような患者か?
どのような治療が適切か?
実際の薬が出た場合、薬剤師としてどのようなことに注意し薬学管理し服薬指導するか?

と考えるようになる。

もちろんよく知らない疾患を読み進める場合でも、

「Point」では、治療目標や疾患を見る上で注意すべきところを教えてくれるし、

「処方の解説」「知っておくべきこと」では、各治療薬の各比較表やガイドラインなどを引用して解説してくれる。

ただただ薬の情報を羅列し知識を詰め込ませるような類の本ではなく、

疾患やその側面と薬の関連性など全体的な視点からわかりやすく解説してくれているところがよい。

薬剤管理指導業務を始めたばかりの方、薬剤師キャリアが浅い方、

専門薬剤師を目指す前に総合的視野を身に着けたい方、

何でも幅広くしっておきたいと考えるジェネラリスト派(私はこれ)の方

など多くの方に有用だと思える一冊。
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説明力UP!臨床で役立つ薬の知識
      

説明力UP!臨床で役立つ薬の知識は、

薬剤師にとっては当然知っておかなければならないと言える内容ばかりで基礎レベルの本。

看護師向けに薬の勉強会をしてくれと看護師から頼まれたら、

この本からテーマのヒントが得られそう。

薬剤師にとっては勉強会のネタ帳として使える書籍だと思う。。


また、薬の基本についてわかりやすく記載されており、

薬について学びたいと考えている看護師さんには勧められる。
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