クロピドグレルとPPIの相互作用はあるか?

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「クロピドグレルとPPIとの併用に関する情報」について、先日の症例検討会で話した内容を

少し紹介したいと思います。興味のある方は、読んでいただければと思います。

まずは、クロピドグレルの代謝経路の話から。

メーカーの見解では、「今のところクロピドグレルの詳細な代謝経路というのは分かっていない」

というスタンスを取っているので、これは飽くまで推定経路ということになりますが、

以下のサイトに代謝経路が記載されています。

クロピドグレル代謝経路   「PharmGKB」(スタンフォード大学が管理しているサイトより引用)

この表と、他の書籍やインタビューフォームなどの情報源からまとめると、
薬剤が体内に吸収され、活性を示すまでの経路は

①クロピドグレルはまず腸間膜で全体の約50%が吸収される。(吸収にはABCB1が関与している)
②-1)腸間膜で吸収された薬剤の約50%のうち85%はエステラーゼによりカルボン酸誘導体として加水分解され失活する。
②-2)腸間膜で吸収された薬剤の約50%のうち残りの15%はCYPにより2段階の代謝を受ける。
③ 1段階目はCYP1A2、2C19、2B6が関与し 2-oxo-clopidgrelに変換される
④ 2段階目でCYP2C9、2B6、3A4、3A5、2C19により活性代謝物となる
⑤ 血小板のP2Y12受容体に非可逆的に結合し抗血小板作用を示す

という流れになります。

つまり、クロピドグレルの抗血小板作用の強度は、ABCB1や数種のCYPの機能の影響を
受けることが考えられます。


つづいて、本題の相互作用に関する話題。

昨年AHA2008で報告された「クロピドグレルとPPIとの相互作用」について相反する報告がなされ、当時は、相互作用については中立的な立場が取られたようです。

まずは、「相互作用がある」と結論した文献
Proton Pump Inhibitors Effect on Clopidogrel Effectiveness: The Clopidogrel Medco Outcomes Study
クロピドグレルの臨床試験のメタ解析。PPI併用の有無で、イベント発症を調査した(14383例の調査)。

結論だけ話すと、イベント発症は、クロピドグレル単独群(9862例)とクロピドグレル+PPI併用群(4521例)で1年間の主要心血管イベント発生率を比較したところ、単独群(21.2%)vs併用群(32.5%)で有意に高かった(調整オッズ比1.86,CI 1.63-2.12)。 ただし、年齢、性、糖尿病、高血圧、慢性腎疾患の率がPPI+クロピドグレル群で高い。また発表者自身が「今後の前向きの検討が必要」としている。

もう一方は「相互作用はない」と結論した論文
Baseline Proton Pump Inhibitor Use is Associated with Increased Cardiovascular Events With and Without the Use of Clopidogrel in the CREDO Trial

リンクを見ていただければ分かりますが、結果は、28日後では有意差はないが1年後では、
クロピドグレル+PPI併用 vs クロピドグレル+No PPI   P=0.043
プラセボ+PPI併用 vs プラセボ+No PPI   P=0.035
となっており、「クロピドグレルを使用しようがしまいが、PPIを使うとイベントが上昇する」
という不思議なデータになっています。(ちなみにこれらは全例アスピリンが使用されています)

これらの結果を受けAHAはACC、ACGと合同で声明文を出しました。

American College of Cardiology (ACC)/American College of Gastroenterology (ACG)/American Heart Association (AHA) Joint Comment on Studies Regarding Possible Interaction of Clopidogrel and Proton Pump Inhibitors
内容は、
Neither of the studies presented today provides sufficient evidence to change clinical practice. In the interest of patient safety, the AHA/ACC and the American College of Gastroenterology (ACG) advise that patients who are currently taking these medications should not change their medication regimen unless advised by their healthcare provider.
「これら2件の発表は、現在の実地診療を変更させるほどのデータではない。現在服用している患者さんは、現在の処方を変更すべきではない。」
と言っています。

話が長くなってきたのと、書くのに疲れてしまったので、
2009年以降の話題についてはまた後日書きます。
関連記事
この記事へのコメント
わかりやすい説明ありがとうございます
2009/09/02(水) 16:33 | URL | Y #-[ 編集]
ありがとうございます。
「2009年以降の話題についてはまた後日書きます。」
と書いておきながらその後全然追加更新せず今に至ってしまい約束を破ってしまいました。

2009/08/21(金)にも関連記事を記載しましたのでご覧いただけましたらと思います。日本ではまだ相互作用の注意はなされていませんが、外国では併用しないように注意喚起され始めているようですね。
2009/09/03(木) 07:55 | URL | cenosky #mSbSW7Ec[ 編集]
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